Staff Column

2025.12.24

SPECIAL:クリスマス特別号

本日は通常コラムと2本立てで
クリスマス特別号としてSSをお届けします♪

皆様も、よいクリスマスを!

※このSSはゲーム本編とは無関係なパラレル設定です。


――12月某日 謎の空間

永守藍
「っ!? ――なんだここ。俺、なにして……」
宗像戒
「よかった、目が覚めたんだね。痛いところはない?」
永守藍
「は? なんでおまえが……」
ユーリ
「いや~それがさ、オレたち強制ログインさせられちゃったみたいなんだよね」
永守藍
「…………はい?」
弥坂奏壱
「僕も直前の記憶があやふやですが、自宅のソファでうたた寝していたら気付けばここに……。最初は夢かと疑いました」
ユーリ
「ああ、いきなり奏ちゃんが自分のことビンタしたときはびっくりしたな」
永守藍
「強制ログインって、ここアンロジカルなんですか?」
雅火
「いや、アンロジカルとは別のサーバーを使用した仮想空間だ。第三者が故意に俺たちをログインさせたようだな。こんな芸当ができる人間は限られるが……」
ユーリ
「雅火も巻き込まれた側ってこと? 運営なのに状況把握できてないわけ?」
雅火
「明らかに企画用のパラレル空間だろ。本編の設定が適用されると思うな」
ユーリ
「いやそれ、言っちゃダメなやつでしょ」
宗像戒
「……藍、大丈夫? 顔色が悪いけど……」
永守藍
「う……嘘だ……こっちは6時間後の〆切に向けて追い込んでたのにログイン!? 1分1秒すら惜しいこのクソ忙しいときに……!?」
ユーリ
「うん……どんまい、藍ちゃん」
雅火
「文句なら首謀者に言え」
???
「――大丈夫だよ永守くん。今日はそう長くかからないからね」
弥坂奏壱
「え……どちら様ですか? やけに本格的なサンタのコスプレをしていますが」
火高
「私は火高。挨拶が遅れてごめんね、着替えるのに少々手間取ってしまって――さて、突然だけど君たちには数日後にせまった『わくわく☆クリスマスプレゼント交換会』に向けて、とっておきのプレゼントを用意してほしいんだ」
雅火
「意味がわからん。山ほどタスクが残ってるんだ。仕事させろ」
火高
「そう。雅火のことだからクリスマス当日も仕事漬けのつもりだろう? 若いのにもったいない! イベントは全力で楽しまなければ! そしてこれを機にみんなで仲良くなろう! という企画だね」
宗像戒
「勝手に進めないでくれる? 参加するなんて言ってな――」
火高
「プレゼントを贈る相手は公平にあみだくじで決めようか。目の前にあるモニターから好きな動物を選んでね。君たち全員が選び終わるまでログアウトはさせないよ」
ユーリ
「シンプルに脅しじゃん……」
永守藍
「もう早く帰れるならなんでもいい……」
火高
「……うんうん、組み合わせはこの通りに決定だね、ちゃんとプレゼントを選んでおくんだよ。――それじゃあみんな、メリークリスマス!」

        ◇   ◇   ◇

――12月25日 再び、謎の空間

弥坂奏壱
「そしてまたここに戻ってきた、と。今日は火高さんの姿はありませんが……あの人は何者なんでしょうか」
永守藍
「わかりませんけど、ひとまず今はプレゼント交換をすればログアウトさせてもらえるんじゃないですか」
宗像戒
「そうだね。始めようか」
雅火
「ああ。さっさと終わらせて帰るぞ」
ユーリ
「…………ちょ、ちょっと待ってよ。え、みんなドライすぎない?」
永守藍
「え?」
ユーリ
「や、だって……えぇぇ!? こんなに盛り上がらないクリスマスパーティーってある!? 確かに初対面の男5人だし、意味わかんない状況だし強制的にやらされてるけど、仮にも今日はクリスマスで、豪華に飾りつけされた会場で目の前に美味しそうな料理も並んでてクリスマスソングもかかってるんだよ……!?」
雅火
「べつに盛り下がってるつもりもないが。このショートケーキはなかなか美味しかったぞ」
宗像戒
「……本当だ。使ってる素材もレベル高いね。あ、こっちのシュトレンもコーヒーに合ってよかったよ」
ユーリ
「順応力高ぁい……」
永守藍
「ん、ビーフシチューもわりと美味い。ま、食べながらでも交換会はできるし、進めましょう」
ユーリ
「あ、うん、了解。もともとこのメンツって過剰に盛り上がるタイプじゃないもんね……」
宗像戒
「ちゃんと現実で用意したプレゼントがそのまま再現されてるみたいだね。クリスマスツリーの下に色々置いてあるけど……」
弥坂奏壱
「あ、これは僕が用意したプレゼントです。僕が贈る相手はユーリなので……さっそくですが、どうぞ開けてみてください」

▼弥坂奏壱→ユーリ

ユーリ
「わ、これ……オルダーウィックのウィスキー!?」
弥坂奏壱
「以前、お酒は幅広く嗜んでいると言ってましたよね。洋酒を好んで飲んでいる印象だったので、僕のおすすめのモルトウィスキーを選んでみました」
ユーリ
「えっ、めっっちゃ嬉しい……奏ちゃんオススメとか絶対間違いないし。せっかくだから、ここらでみんな乾杯しようよ。あ、藍ちゃんはノンアルでね」
宗像戒
「……ユーリさんたちって本当に仲いいんだね。アンロジカルが初対面って聞いたけど全然そんな感じしないな」
ユーリ
「まあね~アンロジカルみたいなオンラインゲームって他プレイヤーとの会話も醍醐味でしょ? ――てなわけで、乾杯!」
雅火
「……香りがゆっくりと開いて、舌の上で静かに広がる。甘みと苦みが見事に調和している……完成された余韻だ」
ユーリ
「ちょ、感想取らないでよ。てかなに、その詩的なレビュー」
弥坂奏壱
「ふふ、喜んでいただけてよかったです。……では、次は誰が渡しますか?」
永守藍
「じゃあ俺いきますよ。すぐ終わると思うんで」

▼永守藍→宗像戒▼

宗像戒
「藍からは俺がもらうんだよね。……? 藍?」
永守藍
「っと……はいコレ」
宗像戒
「えっ。今クリスマスツリーから取ってきた? このジンジャー人形ってそこのツリーの装飾だよね?」
永守藍
「そうだけど。文句ある?」
宗像戒
「ないけど……一応、人のものだから勝手にもらって大丈夫なのかな」
雅火
「この空間自体がデジタルである以上、勝手もなにもない。仮想世界のオブジェクトなら現実に戻れば消えるだけだ」
宗像戒
「……そっか。じゃあ受け取るね。ありがとう」
永守藍
「俺のはこれで終わりなんで、次の人に移っていいですよ」
ユーリ
「…………戒ちゃん、大犯罪でも犯したの? 人当たりいい藍ちゃんがここまでの塩対応になるって」
宗像戒
「あまり気にしないで。次は俺がプレゼントを渡していいかな」

▼宗像戒→雅火▼

宗像戒
「俺から雅火へのプレゼントだけど、風の噂で雅火がトマト嫌いって聞いたから――『チキンのトマト煮込み』を作ったんだ」
雅火
「…………嫌がらせか?」
宗像戒
「違うよ。トマト嫌いを克服して、トマトの美味しさを知ってほしいと本気で思ってる」
雅火
「性質の悪いタイプだな。『このトマトならフルーツみたいに甘いから騙されたと思って』という口上にトマト嫌いが何度絶望したと思ってるんだ」
宗像戒
「騙されたんだ……。俺も普段なら嫌がってる人にそんなことしないけど」
弥坂奏壱
「となると……なぜあえてトマト料理を?」
宗像戒
「まあ、雅火ならべつに嫌われてもいいし、俺たち普段から迷惑被ってるし。せっかくなら、トマト嫌いでも食べられるレシピかどうか試したいなって」
ユーリ
「シンプルに嫌がらせだ」
雅火
「あのな……まず前提としてトマトを一切食べなくとも健康上の支障はない。トマトに含まれる栄養素リコピンやビタミンCは他の食材で摂取可能な上、むしろ無理に食べることによる精神的ストレスのほうが悪影響を及ぼす可能性が十分にある」
宗像戒
「うんちくはいいから、とりあえず食べてみて。あ、デザートにはトマトのジェラートも――」
永守藍
「あ、逃げた。……雅火でも嫌いなものってあるんだ」
ユーリ
「ゲーム内じゃあれだけ弱点が見つからなかったのに……っと、じゃあ次はオレがいこうかな。はい、藍ちゃんへのプレゼント」

▼ユーリ→永守 藍▼

永守藍
「え……これ、LISVOのスニーカー……しかも店舗限定カラー!?」
ユーリ
「お、ドンピシャだった?」
永守藍
「なんでわかったんですか!? マジでこの色が欲しかったんですよ、店舗で試し履きまでしたのに今月は機材に費やしたかったから結局見送って――え、サイズまでぴったり……」
ユーリ
「あ、オレの特技。目視で靴のサイズ測れるの」
宗像戒
「そんな特技ある……?」
弥坂奏壱
「ピンポイントすぎません?」
ユーリ
「――ってのは冗談だけど、合っててよかったよ~。そこまで喜んでくれると、こっちも嬉しいな」
永守藍
「めちゃくちゃテンション上がりました。ありがとうございます」
雅火
「随分と都合のいい偶然だな……。まあいい――弥坂、最後は俺からのプレゼントだ」

▼雅火→弥坂奏壱▼

雅火
「火高にプレゼント交換会の概要を聞いた後、俺が最初に取った行動は弥坂へ連絡することだった。通話口でなにが好きかと尋ねれば、奴が答えたのは『卵サンド』――」
ユーリ
「え? なんか始まったんだけど……?」
雅火
「俺は即座に適当な店で卵サンドを見繕った。しかしふと、これが最適解なのかという疑問が湧いたんだ。そこで目についた卵サンドを買い漁り、食べ比べ、そして気付いた――卵サンドはじつに奥が深いと」
弥坂奏壱
「……雅火さん、まさかあなたも……」
雅火
「ああ、卵サンドの世界に魅了されたらしい。これは、きっかけをくれたあんたへの礼だ」
弥坂奏壱
「! これは……朝4時から並んでも入手できないという幻の卵サンド!? 同志が増えただけでも感激なのに……いいんですか、こんなレア物を……!」
雅火
「代わりにあんたのオススメの卵サンドを教えろ。ちなみに俺は厚焼きの卵サンドが――……」

ユーリ
「あ、戒ちゃんそっちのパン1個取ってくれる?」
宗像戒
「はい。バターはいる?」
ユーリ
「大丈夫、こっちにあるから。……やー、まさか奏ちゃんと雅火がこんな盛り上がるなんてびっくりだなあ」
永守藍
「トマト嫌いだったり、好きなものを熱心に語ったり……人間じみた雅火の一面も驚きですけど、あいつに親近感を覚えた自分にもびっくりですよ」
ユーリ
「はは、それは言えてる。雅火だけじゃなくて、戒ちゃんも藍ちゃんも、オレからしたら新たな発見があったけどね。……ん、戒ちゃんの作ったトマト煮めっちゃおいしい」
宗像戒
「あはは、ありがとう。……俺は最初から他の参加者と関わるつもりがなかったし、今もその気持ちは変わらないけど……たしかに、こうやって交流するのは楽しいね」
ユーリ
「あっ、そうだ。今なら酒も入ってるし雅火もアンロジカルへのクレーム聞き入れてくれるかも!? おーい、雅火も奏ちゃんもこっち来なよ――」
宗像戒
「えぇ、そう簡単にいくかな……」
永守藍
「…………で、これいつログアウトするんだ?」

END.

edited by :
島さん