2026.03.02
SECTION.10 Happy Birthday!!
皆様こんにちは。
本作プロデューサー、ティズクリエイションの島です。
発売から1ヵ月が経ちました!
島は何故か全然別件でバタバタしています。
発売後の感慨に浸る暇もなく……(笑)
ユーザーの皆様もフルコンプ後に2周目をはじめたり
1周目をじっくりプレイしてくださっていたり
思い思いに楽しんでいただけてとっても嬉しいです。
ゲーム内の小ネタとか裏話とか。
色々語りたいことが多すぎるのですが
本日はなによりもまずこちら……!
\3月2日は、弥坂奏壱の誕生日です!/
うお座の男。なんだか声に出したくなる日本語。
まだ寒い日が続くものの、少しずつ春が近づいてきて
温かさがじわじわと染みるような芽吹きの季節。
そんなところも奏壱らしいなと思いつつ、
皆様にも一緒にお祝いしていただけたら嬉しいです。
公式Xでは録りおろしボイス動画と、
花邑さんの描きおろしイラストを公開しています!

スーツ!!リボン!!!!ありがとうございます!!!
(思わず画面に向かって拝みました)
録りおろしボイス動画は【2026年3月4日まで】の期間限定。
公開期間が短いので、忘れずにチェックしてくださいね。
ちなみにメインキャラの誕生日はそれぞれ
こんな感じになっています。

ゲーム本編だと、
おまけコンテンツの『Q&A』で判明する情報ですね。
誕生日以外にも血液型や食べ物の好き嫌い、家族のこと、
女性のタイプ……などなど。
エンド後だからこその赤裸々な情報が知られますので
ぜひクリア後のおまけもご堪能ください。
というわけで、本日は奏壱の誕生日スペシャルSSをお届けします。
※このSSはゲーム本編、個別ルートのエンド後設定です。
ネタバレを含みますのでクリア後にお楽しみください。
※主人公の名前表記はデフォルト設定とさせていただきます。
:HAPPY BIRTHDAY:Soichi Yasaka
彼女と付き合うようになってから、
カレンダーを見る機会が増えた。
おそろいで購入した卓上カレンダーは3月のページ。
2日のところに可愛らしい花丸がついている。
誕生日がいつか聞かれたとき、
彼女がはりきった様子で書き込んだものだ。
弥坂 奏壱
(付き合った記念日は僕が書き込んだから、
簡素な赤い丸……うん、来年は花丸にしよう)
涼乃 環無
「? 奏壱さん?」
くすりと零れた僕の笑みに、隣の彼女が首を傾げた。
弥坂 奏壱
「いえ、幸せ者だなあと。
この歳になって、こんな贅沢な誕生日を
過ごせるとは思ってませんでした」
涼乃 環無
「いつもは特に何もしないって言ってましたもんね。
……でも、私が奏壱さんの年齢になっても、
誕生日はやっぱり一大イベントな気がします」
弥坂 奏壱
「たしかに、年齢は関係なさそうです。
よく考えたら学生の頃も意識した記憶ないですし。
友人に言われて思い出したり、
ここ数年は親からの連絡でやっと気付いたり」
涼乃 環無
「じゃあ、その……」
思わずといった雰囲気で彼女が零した言葉は、
そのまま尻すぼみになり妙な沈黙が流れた。
今度は僕が首を傾げかけて、すぐ思い当たる。
……僕の過去を気にしてくれたのかもしれない。
遠慮せず聞いてほしいと口を開きかけて――
涼乃 環無
「奏壱さんが生まれたことを全力でお祝いするの、
私がいちばん気合い入ってるって思っていいですか?」
まっすぐ僕を見上げた彼女に、今度こそ首を傾げた。
弥坂 奏壱
「それはもちろん、実際に全力でお祝いしてくれましたし、
気合いも十分伝わってきましたが……」
涼乃 環無
「あっ、すみません変な言い方になった……。
ええと、つまり……ご両親とかは除いてですよ」
涼乃 環無
「奏壱さんの誕生日に一緒にいた時間ランキングで
今まででいちばんだったら、いいなって」
――今すぐに。
彼女がわずかでも感じた不安をすべて取り除きたい。
その可愛らしい物言いの裏にある寂しさを……
吹き飛ばすほどの安心を贈りたいと、そう思うのに。
弥坂 奏壱
「間違いなく、いちばんです」
弥坂 奏壱
「だって、昨夜から一緒にいるでしょう?
ちょうど今くらいの時間だったから……
24時間超えはぶっちぎりで1位ですよ」
涼乃 環無
「……やったあ」
胸に込み上げた苦しいほどの愛しさ。
完璧な言葉にする術がないのがもどかしかった。
彼女といると穏やかな幸せと同じくらい、
その健気さに苦いものを覚えることがある。
僕と彼女は似ている。
お人好しで、きれいごとが好きで、強くあろうとして、
そんなに強いばかりでいられないところ。
でも重ねた年数の分、僕は彼女よりも狡い。
自己保身のために誠実でいられない時もあるし、
まだ晒せない汚さだって確かに存在する。
弥坂 奏壱
(それでも、傍にいたい。いてほしい)
衝動と理性に誘われ、僕は彼女の手を取った。
きゅっと指を絡めて、ゆっくり顔を近づける。
彼女がわずかに戸惑い目を伏せると同時に、
額同士をこつりと触れ合わせた。
弥坂 奏壱
「……環無さん」
涼乃 環無
「は、はい」
弥坂 奏壱
「日常のふとしたとき……仕事で疲れたとき、
好きなものに触れたとき。
いつもあなたのことを思い出します」
弥坂 奏壱
「テレビを見て、あなたもこれ好きそうだなとか。
散歩で花を見かければ、
あなたに花束を贈ったら喜んでくれるかな、
でも人生で女性に花を渡したことがないから
緊張するなあ……、とか」
ちょうど今の季節のように。
ちいさな春の訪れに微笑む瞬間と同じで、
彼女を想うと心が温かくなる。
弥坂 奏壱
「夜ひとりで少し寂しいときは、
あなたに会いたいと思う」
弥坂 奏壱
「あなたのことが、本当に好きです。
……自分でも驚くほどに」
涼乃 環無
「……奏壱さ、ん……」
伝えたい言葉が形にならないなんて、言い訳だ。
仕事柄、相手の話に耳を傾けることが多く、
自分が吐く言葉には慎重になる癖がある。
……優しさや耳障りのいいものだけじゃない。
相手との関係性や求められる立場に応じて、
突き放したり上辺で取り繕うのも必要だった。
でも、彼女の前では誤解を恐れずに伝えたい。
声にしないことですれ違うほうが怖い。
弥坂 奏壱
(……とは、いえ)
目を丸くしたまま固まっている彼女から、
少しだけ身体を離す。
弥坂 奏壱
「すみません、いきなり。
……ちょっと重かったですかね」
涼乃 環無
「っ! いえ! ち、違うんです。
その、感極まってしまって……っ」
涼乃 環無
「――嬉しくて、幸せで、私も大好きで!
でも……そんな言葉じゃ足りなくって」
なにかを堪えるように下を向くと、
次に顔を上げた彼女は真剣な瞳でこちら見つめた。
涼乃 環無
「ごめんなさい。抱きついてもいいですか?」
弥坂 奏壱
「ふふ、なんで謝るんですか。もちろんです」
言葉の代わりとばかりに、
ぎゅうっと抱きついてくれる彼女を、
持ち前の理性で柔らかく抱き留めた。
涼乃 環無
「大好きです、奏壱さん」
くぐもった声が胸に響く。
声にしたら取り消せない『言葉』の怖さ。
それは、薬にも毒にもなる力。
何年も向き合って、その扱いの難しさに嘆いて、
……呪った日もある。
でも、言葉がくれる強さを、諦めたくはなかった。
諦めなくてよかったと心から思う。
弥坂 奏壱
「僕も……大好きです、環無さん」
涼乃 環無
「うう……ひとつ、懺悔していいですか。
あんな素敵な言葉をもらったのに……」
弥坂 奏壱
「? なんですか?」
涼乃 環無
「さっき、キスしてくれるのかなって
ちょっとドキドキしました」
さすがに天を仰いだ。
……あ、天井に少し汚れがついている。
現実逃避でもしないと理性が飛びそうだ。
弥坂 奏壱
「――しましょう、キス。
誕生日が終わっても、何度でも」
赤くなった耳元で囁いて、また僕は幸せを噛みしめた。
あらためて奏壱、おめでとう!
優しくありたいと願いながらも、願うことにすら葛藤して、
時には諦めて、でもまた前を向く勇気を持った人。
『美味しいね』と笑い合って彼女と過ごす幸せな時間や、
季節の移ろいを楽しめる穏やかな日々が続いていきますように。
それでは、またお会いしましょう!
- edited by :
- 島さん
