淡雪 Happy Birthday! – 泡沫のユークロニア =スタッフコラム=

2024.11.07

淡雪 Happy Birthday!

『泡沫のユークロニア』スタッフコラムをご覧の皆様、こんばんは。
本作のディレクター、ティズクリエイションの高村 旭と申します。

ついこないだまで暑い暑いと言っていた気がするのに、
気づけばすっかり秋が深まってきました。
ドラマCDやオフィシャルファンブックも無事発売となりまして、
気づけば今週末はもうAGF2024!
こちらRiRi描きおろしのグッズなど販売されますので、
ぜひぜひご来場の際はお立ち寄りいただけましたらと思います!



そしてそして!「LicoBiTs FESTA 〜feat.ユークロ感謝祭〜」も
開催まであと1ヶ月……!?
びっくり。おどろきです。
スタッフ一同鋭意準備中ですので、ぜひ遊びにきていただけましたら幸いです!
あ、ちなみに朗読劇は昼夜公演で後半の内容が変わります!
ので、ぜひどちらの公演も楽しんでいただけましたらと思います!

LicoBiTs通信の第2回放送にてLicoBiTs通信先行抽選販売チケット先行も行っておりますよ~!
こちらの申し込みは11月10日(日)23時59分までとなりますので、
ぜひぜひチェックよろしくお願いします~!

こちらのLicoBiTs通信では12月配信開始予定のダウンロードコンテンツに
収録されるイベントグラフィックもちら見せ
しています!
どんなシナリオになっているか、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

それでは、そろそろ本題に参りましょう。
本日は淡雪の誕生日!
公式XでRiRiさんの描きおろしイラストや録りおろしボイスも
公開されていますが、せっかくですのでこちらのコラムでは
小話をお届けします!

※注意※
・この小話はエンディング後設定になります。
・ネタバレ要素はないですが、気になる方は自己責任での閲覧をお願い致します。
・主人公の名前表記はデフォルト設定とさせて頂きます。


雛菊
「もうすぐ淡雪の誕生日だね!」

お茶の時間。
姫はうれしそうに顔を綻ばせ、そう言った。

そんな表情、仕草、どれをとっても
俺の姫は愛らしい。

淡雪
「姫、今年はどんなふうに過ごしたい?」

雛菊
「うーん……」

もしかしたら、俺が彼女の誕生日を盛大に
祝うことも一因なのかもしれないが……。

姫は、俺の誕生日も張り切る傾向にある。

特に幼少期はその頑張りがあらぬ方向に
飛んでしまい、結構な混沌とした結果を
もたらすので――

いつからか。

姫には『俺の誕生日に何がしたいか』を
事前に聞き取るようにしている。

その習慣を、俺は恋人になった今でも
変えるつもりがない。

雛菊
「淡雪はいつも頑張ってくれてるから、
 まとまったお休みをあげたいなって
 毎年思うんだけど……」

淡雪
「本当に俺のことを思っているなら、
 やめてくれ」

これも、俺の毎年変わらない返事だ。

淡雪
「俺の楽しみを奪わないでくれ、姫」

淡雪
「むしろ、せっかくの誕生日なんだから
 普段以上に俺を振り回してほしい」

雛菊
「もう……。わかってたけど、いつも
 それなんだから!」

姫はちょっと怒ったような顔を作るけど、
笑みが隠せていない。

雛菊
「じゃあ、今年はレモンメレンゲパイを
 朝から焼いてほしいな」

淡雪
「姫……。朝からそんな甘いものを……」

雛菊
「誕生日だもん。特別、でしょ?」

淡雪
「……確かに」

雛菊
「執務は前日に片づけるから、
 午後からは出掛けて、新しい簪を見て。」

雛菊
「仕立て屋で仮縫いの試着をするでしょ?
 こないだ淡雪の服も頼んだから、
 もちろん、それも一緒に」

雛菊
「夕食は淡雪特製のビーフシチューと――
 あ、クロケットが食べたい!」

淡雪
「クロケット?」

雛菊
「最近流行ってるんだって。ベシャメルソースを
 詰めた揚げものみたい」

雛菊
「……振り回すの、これくらいで大丈夫そう?」

淡雪
「最高のご褒美です。
 ありがとうございます、姫」

俺は本気も本気で話しているんだけど、
冗談だと思っているのか、姫は楽しそうに
笑っている。

淡雪
(従者として生きることに喜びを感じる、
 そんな俺にとって――)

淡雪
(日常と地続きの誕生日は、何より幸せだ)

***

霜月の七日。誕生日、当日。

姫のありがたい要望に振り回されながら、
俺は夕食の準備に勤しんでいた。

この日のために数日前から仕込みをしたし、
正直、クロケットはもっと前からこっそりと
練習を重ねてきた。

雛菊
「淡雪、淡雪」

淡雪
「……姫?」

珍しく台所に顔を出した俺の姫が、
どこか遠慮がちに近寄ってくる。かわいい。

雛菊
「本当は夜にあげるつもりだったんだけど、
 待ち切れなくなっちゃって」

淡雪
「これは……」

彼女がくれたのは両手に収まるような
大きさの硝子容器だった。

その内側では、白いものがちらちらと
降り注いでいる。

緻密に作られた東五の屋敷の模型。

そして、俺と姫だと思しき小さな人形が
屋敷の前に並んで立っている。

雛菊
「ほら、わたしが根付をあげたとき。
 淡雪がすごく喜んでくれたから。」

雛菊
「あんまり表に出さないようにしてたみたいだけど、
 ちゃんと気付いてたんだよ?」

はにかんでいる俺の姫が世界で一番かわいい。

雛菊
「今年の贈り物。スノーグローブっていうんだって。
 動かすと雪が降ってるみたいに見えるの」

雛菊
「淡雪にぴったりでしょ?」

淡雪
「姫……」

淡雪
「ありがとうございます。
 俺は今、この上なく幸せです」

淡雪
「姫に仕えることができて良かった。
 これからもずっと、お傍に置いてください」

雛菊
「うん。もちろん離さないよ」

言い切る姫の凛々しさに、胸がきゅんとした。

本心では今すぐにも彼女に触れたいけど、
他の使用人の目もある以上、迂闊に手を
伸ばすわけにはいかない。

俺たちは主人と従者だ。

淡雪
(……あとで、気持ちを伝えられたら)

恋人としての時間とは区切りをつける。

こんな形の幸せが与えられるなんて、
思いもしなかった。

年々、愛しさばかりが膨らんでいく――


ということで淡雪、誕生日おめでとうございました!

ぜひ皆様もお祝いしていただけたら嬉しいです₍₍(∩´ ᵕ `∩)⁾⁾

edited by :
高村さん